カツオにとっての「男らしさ」を追い求める良エピソード【今週のサザエさん考察:20200329放送回】

今週のサザエさんブログ。

今回は(個人的に)かなりの当たり回だった。最初のエピソード「夕日に無く中島くん」が、結構な”カツオ回”だったのだ。

夕日に無く中島くん

公園でサッカーをするカツオと中島くん。

中島くん、「磯野!夕日を見に行かないか」とカツオを誘う。

「夕日ならここで見られるじゃないか。パスするよ。食べられないものには興味が無いんでね」とカツオ。

「女の子たちもよく行くらしいよ」と中島

その言葉に気が変わったカツオ。結局、橋の上からの夕日を見に行く事に。

橋の上からは綺麗な夕日が見えたが、カツオはキョロキョロと「女の子なんかいないじゃないか」と不満そう。

夕日を眺める二人。涙を流す中島くん。

ここまでが冒頭。

冒頭の時点で、面白そうな回の予感がビンビンする。カツオの「食べられないものには興味が無い」という発言の後、「女の子たちもよく行く」で興味を示す。という事は、カツオにとって女の子は食べられるものなのか?とちょっとアダルトなツッコミも入れたくなる。

「夕日ならここで見られる」という合理的な男の子感もカツオの素敵な所。

舞台は磯野家に。カツオ、いつもの円卓で中島くんが夕日を見て涙を流した話をする。「夕日を見て泣くなんて、どうかしてるよ中島のやつ」。

サザエやワカメは「中島くん素敵」というリアクション。

カツオは「大の男が夕日を見て泣くなんて」と返答。

そして家族それぞれが夕日を見て泣いたエピソードを話す。いわゆる”大人”の4人は皆、夕日を見て泣いたことがあると言う。

「お兄ちゃんは神経がガサツだから泣かないと思う」とワカメ。

「ガサツで結構。朝日も夕日も僕には関係ないからね」とカツオ。

頑なに夕日を否定するカツオ。

カツオ以外全員敵。カツオ1人vs大人4人+ワカメ。(タラちゃんは何も言わなかった)

ここでも折れないのがカツオ!良いぞ良いぞ!こうなったら負けるなカツオ!!

でも「男が夕日を見て泣く」事を否定してたはずなのに、夕日そのものまでも否定しそうな気配にまでなってきた。でも頑張れ。

舞台は花沢不動産。カツオ・花沢さん・花沢父で夕日の話に。

花沢さんに「あの橋で夕日を見て泣くと良いことがあるんだって」と、夕日がパワースポットである事を教えられる。

花沢さんの「泣いた?磯野くん」の質問に

「いやぁ泣くのを忘れちゃって……」とカツオ。

おぉ、ここでカツオが「男が夕日を見て泣く事」をあえて否定しないのは、花沢さんがパワースポットを信じるタイプである事、そして花沢さん(あるいは花沢父)が橋の上で夕日を見て泣いた可能性があることを慮ってないかコレは!!

超優秀。さすが俺のカツオ。この機転こそがカツオの真骨頂。

パワースポットを信じてる人の前で「夕日で泣くなんて……」なんて無粋な事は言わないのだ、カツオは。

カツオは家族に見せる顔と外で見せる顔を使い分けるのだ。昨夜は「中島どうかしてる」とまで言ったのに。この時点で満足度高い。この後どうなるんだ。

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花沢さん、かおりちゃんと早川さんと夕日を見に行った事を告げる。

その結果、かおりちゃんと早川さんは夕日に泣いて、花沢さんは現地では泣けなくて、家に帰って悔し泣きをしたと言う。

「なんで悔し泣きなのさ?」とカツオ。

「花子は橋の上から小銭入れを落としたんだ」と花沢父。

カツオにそれを聞かれて恥ずかしそうな花沢さん。

カツオ、家に帰って虫取り網とバケツを持って「橋まで行ってくる!」

夕景の中、長靴を履き、川に入って虫取り網で小銭入れを探すカツオ。

花沢さん、心配して「磯野くん、もういいわよ。早川さんとかおりちゃんも探してくれたのよ」

「女の子とは探し方が違うよ」とカツオ。

おいおいおい、カツオ最高じゃねーか。

カツオはここでは(おそらく)打算が無く、困っているであろう花沢さんのために小銭入れを探している。

花沢さん、「惚れてまうやろー!!」って言っただろうな。家に帰ってから。

「女の子とは探し方が違う」という言葉や、「大の男が夕日を見て泣くなんて」という言葉から、カツオにはどうやら”男らしさ”の定義みたいなものがあるんだろうな、と感じた。

結局、小銭入れは見つけられず。

磯野家の居間で、「日没でゲームオーバー」と家族に告げるカツオ。

「お兄ちゃん明日も探しに行くんですって」とワカメ。

「橋の上で泣いてるだけが男じゃないよ」とカツオ。

「カツオは橋の下で頑張ってるわけね」と、ちょっとカツオを見直した風なサザエ。

そしてカツオ、「ハックション!!」

「風邪引いたんじゃないのかい?」とフネ。

明日も行くのか!!マジかよ。その調子ならいつかTOKIO入れるぞカツオ。

翌日、フネに学校を休まされたっぽいカツオ。布団の上で漫画を読む。

ワカメに「こんなの風邪に入らないよ」とおちゃらける。

するとカツオのために、かおりちゃん、早川さん、花沢さんの3名がお見舞いにやってくる。

談笑の後、「川の中に入って小銭入れを探した件」について、かおりちゃん・早川さんにべた褒めされ、拍手までされる。

「かおりちゃんが花束、花沢さんがケーキ、早川さんが夕日の写真集」と、3名が持ってきてくれたお土産を嬉しそうに居間で広げるカツオ。

「早くケーキ食べよう」とワカメがせっつくが、「お父さんに見せてから」と断りを入れるカツオ。

まぁそうなるよね。という展開。

花沢さんが、自分のためにカツオが小銭入れを探してくれたのがよほど嬉しかったのか、女子トークで話題にでもしたのだろう。

しかし「お父さんに見せてから」と、食いしん坊なカツオが戦利品に手を付けないのは重要。

おそらくカツオにとって自分の”男らしさ”で手に入れた名誉を最も報告したいのは、誰でもない波平なのだろう。

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早川さんがくれた写真集を1人で見て泣きそうになるカツオ。

ワカメが近づくが泣いてないふりを見せる。

後日、堀川くんが磯野家を突然訪れる。サイコパスで有名な、ワカメの友達の堀川くんだ。

「(風邪の)お見舞いの品です」と一匹のオタマジャクシを渡す堀川くん。

どうやらあの橋の下で捕ったオタマジャクシらしい。

「オタマジャクシは1匹しか取れなかったけど、小銭入れが取れました」と報告する堀川くん。

小銭入れは交番に届けたらしい。

堀川くん、お見舞いでオタマジャクシってどういう事よ。しかも「お見舞いの品です」って。生き物を品っていうのはやめてあげてー。相変わらず違和感を放り込んでくれる面白いヤツだ。

次の場面で、カツオは花沢さんと交番へ。無事に小銭入れが見つかる。

「磯野くんのお陰ね」と花沢さん。

「見つけたのは堀川くんだよ」とカツオ。

嬉しそうな花沢さん。「問題は堀川くんへのお礼なんだ」とカツオ。

「お礼に、自分用のオタマジャクシが欲しいって言うんだ」

中島とオタマジャクシをすくいに行くカツオ。それを見て「春だねぇ」とフネ。

道中でカツオの虫取り網に何かが入る。

そしてラストシーン。中島くんとオタマジャクシすくいを始めようとすると、虫取り網から白い卵?が。

「へぇ、春だなぁ」と中島くん。おしまい。

堀川くん、人にあげといて自分もオタマジャクシも欲しいのかい!もうよく分からなすぎて好き。

そしてラストシーン。たぶん鳥の卵。

多くの野鳥の繁殖期は春に迎えるらしいので、たぶん卵で間違いないと思う。鳥の卵って春の季語らしいし。

ただ、ちょっと分かりにくかったラストになってしまった。途中までは最高だったのに。

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感想

この回は「夕日の話」に見せかけて、カツオの「男らしさの理想」についての話だったんじゃないかと思う。

夕日で泣く男(中島くん)を序盤でディスり、1人だけ家族と意見が合わなかった。そのタイミングで花沢さんの小銭入れ紛失事件。

カツオにとっての男らしさとは、橋の上で女の子たちと同じように涙を流す事ではなく、橋の上で涙を流す女の子が落とした小銭入れを橋の下で探す事なんだろう。

カツオが自分にとっての「理想の男らしさ」に少し近づけた回だったのではないだろうか。

そしてそれを真っ先に報告したいのが父である波平というのも、彼なりの思いがあったはず。

しかし、早川さんが届けてくれた写真集を見て泣きそうになった経験もまた、カツオを1つ大人にさせるような気もする。

時にはワカメの前で泣いたっていんだぜ、カツオ。

追悼テロップ

ちなみに、今回の放送では、過去にマスオの声を演じた増岡弘さんの追悼テロップが最後の「笑う門には…」のエピソード時に流れた。

「笑うと良いことが起きる」という優しく幸せなエピソードに追悼テロップを合わせたのも、きっと優しいマスオさんを演じた増岡さんへの気持ちがこもっていたのだろうと思う。

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