波平を追い詰める磯野家と、波平を救ったカツオ【今週のサザエさん考察:20200322放送回】

今週から、「今週のサザエさん考察」というのを可能な範囲で更新していこうと思う。私の大好きなアニメコンテンツだ。

私はサザエさん、特にカツオの動向を見守るのが好きだ。カツオの要領の良さや機転の効く言動には、世知辛いこの世の中を生き抜くヒントが隠されている気がしてならない。

早速今回の放送回の、印象的だったエピソードについて考察していこう。

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似たもの親子

今回は、2話目に放送されたエピソードが最も面白かった。

冒頭、カツオの連絡帳に『落ち着きが無く、移り気である』と記載されており、カツオは「そんな事だから勉強も出来ない」と波平からお説教を受ける。

しかし、サザエの「カツ丼が届いたわよー」の声に波平は「やっと来たか!」と反応し、お説教はそこで終了。

今度は波平がフネに「お父さんも移り気な所がありますからね。カツオに示しがつきませんよ。」と説教を受ける。シュンとなる波平。

これは面白くなりそうな冒頭。

いつもはカツオに怒る側の波平が、カツオに逆襲を食らうというエピソードは稀にある。今回もそのパターンかな、と期待を膨らませる。

「カツオの手本になるために何か始めてみるか」と波平が思案している所にノリスケ登場。

ノリスケ、浮かない顔の波平に「喫茶店で話でも聞かせてください」と言って相談を聞く。

「いやーちょうど昼飯がまだだったんですよね」ちゃっかり喫茶店でナポリタンをご馳走になるノリスケ。

ノリスケは波平の相談に対して「気象予報士の資格でも取ったらどうです?叔父さんが天気予報を出せるようになったらカツオくん尊敬するだろうな」と適当な事を言う。

「気象予報士か!」と、その気になった波平。早速気象予報士受験テキストを買って家で勉強を始める。

ここでノリスケの調子の良い所が出た!

ナポリタンを奢ってもらうために相談に乗った男の言うことを真に受けてしまう波平。非常に流されやすくて逆に感心してしまう。

気象予報士の資格取ってどうするんだよ。要領の良いカツオが、それで尊敬するかい。自分の息子を舐めるなよ波平。

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磯野家の円卓。話題は波平の気象予報士の資格の話に。

「(おじいちゃんが天気予報出せるようになったら)凄いデス!」と波平を持ち上げるタラちゃん。

「気象予報士の資格は難しいですよ」と心配するマスオ。

「大丈夫よ、お父さんがんばり屋さんだもん」と言うワカメ。

「そうねー。カツオじゃないんだから簡単に投げたしたりしないわよねー」と乗っかるサザエ。

「じゃあカツオもお父さんに負けないように勉強しないとね」とカツオに発破をかけるフネ。

おい、鬼かよこの家族。カツオや波平の目線で見ると、地獄絵図のような光景だった。

まず、ワカメの発言が無邪気ゆえに罪が重い。人は成功を前提に期待されるとツライんだよ。ワカメは無意識に人を追い込んじゃう所がある。

そして確信犯的に波平とカツオにプレッシャーをかけるサザエは更にたちが悪い。そして波平の話なのにカツオを引き合いに出すな。なんだこの構図は。

なんだかカツオも波平も可哀想すぎないか。

食卓後、机に向かって勉強するカツオ。

「頑張ってるわねお兄ちゃん」とワカメに言われるが、「2~3日の辛抱だからね。お父さんのことだから三日坊主に決まってるよ」と返すカツオ。

帰宅途中の駅で気象予報士の本を読む波平。それを見つけて「本気で勉強始めたんですか?」と言うノリスケ。

「気象予報士の資格なんて、そんなに簡単に取れないですよ。まさか本気にするとは思わなかった。」と続けるノリスケ。

波平は怒って勉強をやめようとするが、帰宅すると「カツオが勉強している。父さんの気象予報士が効いてる」とフネとサザエが嬉しそうに語る。

カツオ、けちょんけちょんに言われた食卓では言い返さずに一旦勉強の姿勢を見せるのが素晴らしい。それも波平の努力が続かない事を見越して、だ。さすがカツオである。

そしてまた調子の良いノリスケ登場。波平が完全に小馬鹿にされててウケる。波平のダメな所が全開のエピソードになってきた。良いぞ良いぞ。

カツオは勉強してるふりして、実は教科書に漫画を挟んで読んでいた。

波平も同様に、気象予報士のテキストに囲碁の本を挟んで読んでいる。

数日後、連日の勉強?の影響で疲れている波平。

「父さん、昨日も遅かったの?」と心配するサザエ。

サザエ、自分で波平とカツオにプレッシャーかけたの忘れたのか。

カツオも連日の勉強?で眠そう。それを心配するワカメ。「お父さんも元気ないわよね」とワカメ。

ワカメ、君もプレッシャーかけたの忘れたのか。そこは「二人とも頑張ってるね」的なスタンスの方が納得いくぞコッチは。

「お父さんがこのままだと体を壊さないかね」とサザエに相談するフネ。

「もうやめて、って言ってもお父さんの事だから余計に意地になりそう」と返すサザエ。

だから!波平にプレッシャーをかけ続けたのはサザエたちなんですけどー!波平に問題がある的な言い草はやめてあげてー。

後日、波平の帰りを決意の表情で待つカツオ。

カツオは居間で88点を取った算数のテストを波平に見せ「僕、頑張ったからさ、もう無理しなくていいよお父さん。このままじゃ気象予報士になる前に体壊しちゃうよ」と波平に言うカツオ。「カツオ……」と嬉しそうな波平。

さすが俺のカツオだ!一番平和的な解決策を提示し、磯野家に蔓延してるくだらない努力問題をこれで終わらそうと試みた!この要領の良さこそカツオの真髄!!

ところが、カツオを呼び止めるサザエ。

テストの結果が88点ではなく、38点の文字に赤字を足して88点に偽装してある事を指摘する。

「こうでもしないと、お父さんが心配だったんだ。ごめんなさい。」と弁解し謝罪するカツオ。

サザエ、平和的な解決ができそうな所をひっくり返す。この時、実は波平が一番ヒヤヒヤしてたのではないか。

カツオが助け舟を出してくれた舟に乗っかれそうだったのに、その舟には乗る事ができなくなってしまった。

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「だからってこんな事していい訳ないでしょ」と灸をすえるフネ。

「カツオ、分かった。もうやめるよ」と気象予報士の資格のギブアップ宣言をした波平。

「良かったねお兄ちゃん」とイクラ。

「私もなんだかホッとした」とサザエ。

「良かったーこれで遊びに行けるぞ!」とカツオ。

「いや、カツオはまだ終わっとらんぞ」と波平。

「そうねー、38点じゃまだまだ頑張ってもらわないとね」とサザエ。

カツオ以外の家族全員でウフフフフ。終了。

結局、波平は自らギブアップ宣言をし、「でもカツオは勉強しろ」でこのエピソードは終了。

感想

このエピソードは波平のダメな所が沢山出ていて、それでいてカツオの要領の良さも出た回だった。

無邪気に他の人を追い詰める発言をしてしまうワカメの性格もよく出ているし、その時々でもっともらしい正義を振りかざすサザエの性格も出ている。磯野家の闇的な部分も出てると言って良いだろう。

波平が「父としてカツオにお手本を見せなければ」という責任感から、自らの行動を顧みた事は素晴らしい事だと思う。やはり人の行動について指導をする者は、このように自らの行動を見直す機会は多い。

そこまでは良い。

なぜ気象予報士なのか。あまり深く考えずに人に流され、すぐテキストを買って行動を起こしてしまうのも、実は波平らしい。

そして父と自分の苦しむ状況を変えるべく行動を起こしたのはやはりカツオ。

不正をしたのはいただけないが、悪い方向に向かう状況を変えようとアクションを起こす姿勢はやはり好感を持てる。自らが作った呪縛に囚われた波平を救うキッカケを作ったのもカツオだった。

この家族はカツオの機転を中心に回っていると感じざるをえない、私としては満足な回だった。

テストの点数が本当に88点だったらパーフェクトなのだが、ここを誤魔化そうとする所がカツオらしさなのだろう。