鹿島からNIKEのトータル90のアイテムが出るらしいので思い出を少しだけ書いてみる。
2002年頃。NIKEからエアズームトータル90Ⅱというスパイクが出た。
↓これ
日韓ワールドカップ合わせでNIKEが繰り出したのが、エアズームトータル90Ⅱとマーキュリアルヴェイパーという2つのスパイク。
↓マーキュリアルヴェイパー初代
この2つのスパイクとアディダスのプレデターマニアという3つの斬新なスパイクがW杯合わせで投入され、当時のサッカー少年たちの憧れとなった。
エアズームはロベカルやフィーゴ、トッティら中盤やDFのスター選手が着用し、マーキュリアルはロナウドやアンリなど、どちらかと言えばFWやドリブラーが多く着用した。
一方のプレデターマニアはベッカムやジダンらが着用した。
これら3つ(主にエアズームとプレデター)の価値は「スパイクの可能性を広げた」というところにある。
90年代までのサッカースパイクは、(質の良いものは)カンガルーレザーで、色は黒で(あっても白)、いわゆる普通の靴の延長にあるデザインがほとんどだった。「良いスパイク=カンガルーレザーの黒いスパイク」だったのだ。
そこから大きく革新が始まったのが2000年代初頭のこれら3つのスパイクの登場だった。
これらのスパイクは履きやすさというよりはデザイン面で圧倒的な存在感を示した。(履きやすさで言えば個人的には俄然パラメヒコやモレリアの圧勝だったと思う。)
エアズームはシューレースが斜めについてるし、エアが入ってるし、マーキュリアルはとにかく薄くて軽いし、プレデターはカーブを効きやすくする訳わからんゴムがついていた。
これらのスパイクのデザインは「最先端!」という感じがして、相対的にこれまでのクラシカルなスパイクがやや古臭く見えてしまった。
そしてこの時代のNIKEの新しい挑戦は「カンガルーレザーを使用しない(人工皮革を使用)」という部分にもあったと思う。※プレデターマニアはカンガルーレザー。
「トップモデルなのにカンガルーレザーではない」という事は当時はかなり新鮮だった。カンガルーレザーではないゆえ、赤・青・黄色など、自由で斬新な色使いが出来るようにもなった。
(細かく言えばトータル90Ⅱにはカンガルーレザーモデルも1つだけ一応出してたが、まぁそれは一旦置いとく)
一言で言えばこれらのスパイクが「スパイクのデザイン」に個性とバリエーションとカラーリングを与えてくれた。一人のサッカー少年にとっては大きな革命と呼べるほど、自分の中のサッカーの世界が動いた感じがした。
ちなみに「トータル90」の意味は「これを履いて90分間ゲームを支配しようぜ」的な事だったと思う、たしか。
と、前段はここまでにして、問題の90を◯で囲んだデザインである。
このデザインは2004年頃に登場した。スパイクはトータル90Ⅲという名前だ。
おそらくだが大成功したエアズームトータル90Ⅱを受けて、2004年はユニフォームにまでトータル90のデザインを適用した。
↓※これは最近出たリバイバルだけど、まぁ当時とほぼ同じ
このデザイン、「ダサくね?」と思った人も当時はたくさんいた。バカにしている人もたくさんいた。
私は初見では「あまり好きではない」と思った。
トータル90はⅢよりⅡの方が遥かに洗練されててカッコいいと思ったし、それは今でも思っている。
ただこのデザイン、あとにも先にも唯一無二すぎるのだ。こんなに消費者の価値観を問うてくる攻めたサッカーのアイテムはあとにも先にも知らない。
このデザインのエアズームトータル90Ⅲをロナウジーニョが履き、ルーニーが履き、フィーゴが履き、ロベカルが履き、代表のユニフォームもこのデザインを着て、スーパープレーを繰り出す。となってくると、段々格好良く見えてくるものだ。
まるでスルメを食べるように、90を◯で囲ったデザインを見ていくうちに「案外良いのか」と自分の価値観が変容していく。
そして私はいつの間にかお年玉をはたいてエアズームトータル90Ⅲのスパイクを購入していた。※別に特別履きやすくはなかったがデザインは最終的には気に入った。
そんな思い出がある20代後半~30代・40代の人、多いのではないだろうか。
というわけで鹿島のトータル90のTシャツ、金曜日に発売らしいです。
▼鹿島アントラーズオンラインストア