ナンパの男の子

大阪に行ってきた話の続き。

大阪へ行って電車に乗るたびに必ず思い出すエピソードがある。

ナンパの男の子

2年前くらいだろうか。

いつものごとくサッカーを見るために神戸空港から大阪駅に向かっていた。

私は混み合う電車内でつり革につかまり、小説を読んでいた。

JRの大阪駅に着く直前に、私から見て右側の若い男の子(20歳くらい)の3人組がソワソワし始めた。

どうしたのだろう?と思ってそちらに目をやると、その中の1人の男の子が私の前を横切って、左側にいた女性2人組(こちらも20歳くらい)の片方の女性に声をかけた。

「すみません、すごく気になってしまって、これ連絡先です。迷惑だったら捨ててください。すみません!」

みたいな感じで紙に書いた連絡先を女性に渡していた。

一言で言えばナンパだ。

ナンパは殆どの場合で迷惑行為になると思っているが、この日のそれは第三者の私から見ても嫌な感じのないナンパだった。

「おぉ、やるじゃん男の子」

と偉そうにも思って私は小説を閉じた。そろそろ大阪駅だ。

大阪駅で電車を降りようとすると、ナンパをされた女性2人組が「え、どうするどうする?」みたいな事を嬉しそうに小声で相談しているのが背中から聞こえた。

この日のエピソードはこれで終わりなのだが、私は大阪に行って電車に乗るたびに「あのナンパの男の子、上手くいったのかな」と思い出す。

人のナンパの成功を願ったことは、人生でこの1度しかない。

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『青春』とは何だと思いますか?

先週の大阪の話に戻る。

また例のごとく私は大阪に向かう電車で本を読んでいた。

この日は『3652―伊坂幸太郎エッセイ集―』(Amazonリンク)というものを読んでいた。

その中の一節にこんな言葉があった。

「『青春』とは何だと思いますか?」

「僕にはきっと、特別あつらえの人生が待っている」と無根拠に思っている時期のことではないでしょうか?

引用元:『3652―伊坂幸太郎エッセイ集―』

これを読んだ瞬間に、奇しくも2年前のナンパの男の子の事を思い出した。

彼があの女性と上手くいったかは分からないけれど、でも「きっと僕には特別あつらえの人生が待っている。」彼自身が無根拠にそう思えているから出来たナンパだったのかもしれないな。

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